大嫌いなんていわせないで




 イヤなヤツだし。かっこつけだし。何考えてるか全然わかんないし。
 いじわる、だし。
 だけど俺は別に、あの人のことが嫌いじゃない。
 降谷の球ばっか取るのも俺にキビシいこと言うのも、部のためなら仕方ないって思う。
 勝つための野球、そのためなら投手に嫌われたっていいって笑うあの人らしい。普段おちゃらけてるのも半分演技なんじゃないだろうか。
 そのくらい、御幸一也は野球に真剣で。
 そんなあの人が俺はすごいと思う。いい先輩だと、思う。
 なのに。




「あんたなんか」
 ギラギラした目なのに、どこか子どもみたいなキラキラを中に持った、レンズの奥。
 睨み付けられてもまるで堪えないと言わんばかりの、たるんだ笑顔!
「あんたなんか大っ…嫌いだーっ!!」
 「大」の後にタメを作って叫んでも、御幸はニヤニヤしたやらしい笑顔で俺を見下ろすだけ。
 ムカつく。イヤでかっこつけで何考えてるかナゾでいじわるなこいつが。
 わざと大嫌いなんて言わせて、それが特別だって子どもみたいに喜ぶ御幸が、もう本当に、嫌だ。







08/08/14