罰ゲーム




「サスケっ!」


 後ろからかけられた声に、サスケは振り向く。
 そこにいたのはナルトだった。走ってきたのか、はあはあと激しく肩で息をし、顔を苦しそうに歪ませている。


「…どうしたんだ?」


 声をかけられて嫌な相手ではない。いや、むしろ嬉しい相手だ。いつもの言い争いに発展しないように、極力「優しく」サスケはナルトに言った。


「……」 「…?」


 だが、いつものナルトとどこか様子が違う。視線をサスケからずらし、何か言いにくそうに黙ったままだ。どこかつらそうで、恥ずかしそうな表情。こんなナルトを、サスケは見たことがなかった。


『どうしたんだよ、本当に・・・』


 眉間にしわをよせて、サスケは考える。しかしこれといった理由も見つからない。
 もう一度聞いてみようと、口を開きかけたその時。


「……ってばよ」 「は?」


 かすかに、消え入るような声で、ナルトがつぶやく。実際その声はほとんど聞き取れなかった。
 サスケはますますわけが分からなくなり、ますます眉間にしわをよせる。


「なんなんだよ?言いたいことがあるならはっきり――」 「だからっ!」


 ナルトはじれったそうに、顔を真っ赤にして、半分裏返った声で、叫んだ。





「オレ、サスケのこと、好きだってばよっ!!」





「……」  言ってすぐ目線をずらすナルトを見、サスケは絶句した。


『サスケのこと、好きだってばよ』


 衝撃的な一言が、頭の中でこだまする。


『ナルトが、俺のことが好き?あの木の葉のアイドル超絶かわいい金髪碧眼少年が?』


 サスケはくらくらしそうになりつつ、ある結論に達した。


『…てことは、つまり、これで、こいつは、ナルトは、俺のもの。要するにこれからこいつは……』


 様々な思惑が(というか妄想が)木の葉ナンバーワンルーキーの頭の中で繰り広げられまくった。


『それじゃ、もうこいつはうずまきナルトじゃあなく、うちはナルトってことか!?あ、それは入籍してからか?まあそんなのは後でいい。ナルトがそう名乗りたいなら、俺は猛烈にオッケーだ。てことは、俺の家に住むのか?電話に出る時も、モチロンはいうちはです、っていうわけか!うわあ……夜に寂しいってばよサスケいっしょに寝ていいとか言われたらどうしよう!?』


 告白イコール結婚といういろんな過程をすっ飛ばした妄想はともかくとして、サスケは幸せの絶頂にいた。なのにもかかわらず表情はポーカーフェイスのままなのが、この少年のすごいというか、すさまじいところであろう。
 しかし、


「……っ!」


 ナルトは黙ったままのサスケが驚いているだけと判断したのか、顔を真っ赤にしたままきびすを返して走り出した。


「お、おい!待て、ナル…」


 サスケはナルトを追いかけようとした。  と。


「カカシセンセーっ!」


 ナルトは遠くに向かって、思いきり、叫んだ。





「この罰ゲーム、ひどすぎるってばよおーっ!!」





「……」


 サスケは、しばらくその場で真っ白くなっていた。











 カカシ先生とナルトは、一楽でラーメン早食いの賭けをしたんですな。それで、見事ナルトが負けた、と。ファンブック(臨の書だか兵の書)に、カカシ先生は(一流の忍は)食べるのが速いってかいてあったし、間違いないでしょう。
 でもこれって、ただのサスケへの嫌がらせですよね。こういうこと大好きなカカシ先生が好きです。相変わらずわたしが書くサスケは報われないわー♪
 しかし書いたのが4年前位なので、文が拙いですね…!




08,7,27