――俺も、キャッチャー楽しいよ。

その思いに嘘はなく。






――俺は、お前が好きだよ!

その想いは、何よりも正しい。






だからときどき俺は、どうすればいいかわからなくなる。
お前が好きなのは捕手としての俺であって、
阿部隆也じゃないんだろ?






俺はあのとき、確かに投手という枠組みを外してお前が好きだと言ったのに。
なんでさあ、お前はいつだって、野球を介して俺を見るんだ?






そんなものなくたって、俺は努力するよ。
他の奴らのようにいかなくても、お前を理解するように努力するよ。
うまくいかなくたって、何回だって這い上がってみせるよ。









お前が、好きだから。






だから三橋、俺を見てくれ。
野球が大事ならそれでいい。俺だって野球が大事だ。





でも、一番は、俺にしてくれ。
寂しいときは、俺のこと考えてくれ。
寂しがるなら、俺のことだけにしてくれ。






野球と心中なんか、するんじゃねえよ…っ!







07,10,21

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