Good Morning My Honey?
もぞ、と胸元で髪の毛が揺れた。
三橋が寝返りを打とうとしたのかと思ったが、どうやら違うらしい。胸の辺りに、頬をすり寄せてきたのだ。
「どーした?」
どうかしたか、ではない。どうかしたに決まっているから。
顔の見えない三橋は一旦動きを止め、しかししばらくするとまた、まるで猫みたいにすり寄ってくる。
「みゅー…」
「……」
高校生男子としていかがなものだろう、この寝言は。可愛いけど。
裸で寒いのだろうか。もう春も過ぎ、そろそろ雨の多い時期になる。榛名自身そんなに寒くはない。
榛名は軽く頭を起こして睨みつけるように壁を見た。室温は二十五度を越えているらしい。
また、三橋に視線を戻す。
ヤって恥ずかしい、というのは数時間前に終わらせた.榛名でさえしばらくまともに顔を直視出来なかったのだから、三橋が顔から湯気を出し卒倒しかけるのも当たり前だった。
――そろそろ、服着せたりしなきゃいけないんだっけ?
悪友には大事にしないとと口酸っぱく忠告を受けた。でも泣かせたいのも事実だと言うと、秋丸はもうちょっと待ってみたらと至極まともな提案をしてくれたのだった。
けれど、いつもそばに置いておけるわけじゃないから、キスより、抱擁より約束より、
強い繋がりが欲しかったのだ。
――痛かった、よな…。
当たり前のことを思うたび、ほんの少し心に負荷がかかってゆくようだった。いつもみたいにもっと傍若無人に振る舞えたらいいのに、さすがに今日ばかりは無理だ。
腕の中の三橋の蜂蜜色の髪を、手で優しく撫でる。
すると、ゆるゆると三橋は顔を上げた。眠そうに半眼になった目が、榛名を映す。
「は、るな、さ…?」
「よお。まだ寝てろ」
それだけ言って三橋を胸に抱き寄せる。多分自分はまだペースを崩されたままだ。
「はるな、さ…」
「んー?」
ぱくぱくと、金魚みたいに口を動かして。
「さび、し、い…です…」
「……はあ?」
榛名は普段のような大声で聞き返した。本人は単に驚いただけなのだが、三橋にしてみれば怒られたように感じたに違いない。
「あぅ、ご、めんな、さぃ…」
「怒ってねーっつの。それより寂しいって?何だよ?」
いつもより格段に近くにいるのだ。榛名にとっては幸せでありこそすれ、寂しいなんてちっとも思わない。
それどころかこの状態がずっと続けばいいと思うあまり、さっきから起き上がれないのである。
もしかしたら自分に対して寂しいのではなく別のことなのかとも思った。三橋は時々突拍子もないことを言い出す。だが、さすがに悲しい考え過ぎて頭から追い出した。
三橋はまたもぞ、と榛名の胸の辺りで動いた.少ししっとりした髪の毛が触れて妙な気分になる。
「さっき、は」
「さっき?」
三橋がこくんと頷いた。
「さっき…は、も、もっと、近かった、のに、」
「は。」
「いま、は、ちょっと、遠くて…」
三橋の顔がかすかに見えた。茹で蛸なんて目にならないほど真っ赤で、今にも爆発しそうだ。
――それはつまりアレか。
最中が、恋しい、と。
呆然とした頭で考え、榛名はこれでもかと口角を上げた。歪んでヘンな顔になる。
「廉って結構ヘンタイ、なんだー?」
「!ちがっ…!」
三橋はがばっと顔を上げる。顔が熟れた林檎みたいだ。
――うまそー。
別に林檎は好きじゃないのに思って。そこをきっちり狙って、唇を奪う。
すぐ離れてやると三橋は悔しそうな泣きそうな目で榛名を見た。普段は見上げることしかできないけれど、ベッドに二人で横になると、ちゃんと視線が行き交う。
「ちがいます、からっ」
「あーハイハイ」
「はるっなさっ」
「元希さん、な」
「……っ!!」
恥ずかしさで真っ赤だった顔は三橋なりの精一杯の怒りで赤くなり、今度は泣きかけて赤い。
「もと、きさ…」
「上出来〜」
逃げる身体を引き寄せ額に。そのままぎゅっと抱きしめて。
三橋の苦手な低音を、耳元に浴びせかける。
「好きだぜ、廉」
「おれ、も、」
すきです。
その言葉はキスで封じ込められた。
「もっかい、してえか?」
「……」
榛名は本気で考え始めた三橋を見て、思った。
答えがどうであれ、離さないこと決定、と。
終
相互記念に<鴉山>のくろ様に捧げさせて頂きます。リクは「情事後の甘いハルミハ」でした。
…これ、は……甘い、のか………?(ひたすら自問自答)
ていうかレンレンをえろいこにしちゃってごめんなさい!きっと眠くて寝ぼけてたんだ、そうに違いない。あれ、とすると気の毒榛名さん?(笑)
まあらぶらぶなので許してもらうことにします、ごめん榛名…。
余談ですがうちの相方はハルミハってなんかエロい気がすると言ってました。空月も別段特に否定は致しませんが…(えええ)
なんかあほ話になってしまい申し訳ありませんでしたー!どうぞ可燃ごみの日にでも捨ててやって下さい…orz
相互リンクありがとうございました!これからもどうぞよろしくお願い致しますっ!
08,5,3
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