ELLA様からお借りしたお題です。(link頁から飛べます)



君と過す最後の夏(三橋廉)


さようなら。悲しいはずの言葉はそんなに悲しくない。
だって、君のおかげで野球ができるようになった。君のおかげでうれしいことも、つらいこともあったけれど、君のおかげでみんなに会えた。
ありがとう。ありがとう。

「廉?…あら、それ」
「うん。ぼろぼろ、に、なったから。捨てなきゃ」
「ああ、じゃあ物置に置いといて!捨てておくから!」
「…う、ん」


たぶん君の二代目に、またお世話になります。硬球でもぼろぼろにならないやつ。
最後の夏。いつか物置からも消えてしまうけど。

一番長く一緒にいた君との、最後の、最高の夏にしたい。




(お父さんといっしょに的の話、できるといいよね。)






帰り道もしらず(カノミハ)


しゅうちゃーん。(廉のこえが響いた)

れんー、こっちこっちー!

しゅ、しゅうちゃ、ここ、どこ…?

しらない。

しっ、しらなっ…!?

でもだいじょうぶだ!おれら、だれもしらないところに、行くんだから!

う、うおっ!しらない、トコっ!

そう!だって、カケオチ、だからな!

カケオチ、って、なんだろね!

……。れーん!(修悟のこえが響いた)

な、にー?

よんだだけー!

…う、ひ!




(誰も知らないところなんて、あの頃知っていたはずがないのに!)






夜色の猫(カノミハ)


廉の膝の上。見知らぬソイツは欠伸をひとつ。

「…買ったの?」
「拾った、んだ、よ!」


へえ、と気のない返事を吐き出して、ソレの頭を撫でようとすると、金色の瞳に威嚇された。
かわいくない。ああ、かわいくない。


「れん」
「う、ん?」
「もといた場所に捨ててきなさい」
「ええっ!?」


廉はまるい目をますますまるくして、泣きそうになった。
知らないぞ。お前がそんなのに浮気するからだよ!


「修ちゃんに、似てた、から、連れてきたのに…」
「!?」
「うっ…うええんっ!」
「……っ、」


「本物で、我慢しろ!」




(夜を閉じ込めたような毛並み。こちらを射る綺麗な瞳はまさしく、)






七色炭酸水(タジミハ)


「虹だー!!」

田島がホースを高く高く掲げて七色の光を作る。

「虹、だー!!」

隣りで三橋が目をキラキラさせて叫ぶ。

「三橋ー、虹、捕まえっぞー!」
「うえっ!?」

田島はホースを放り投げて(キャプテンの怒声が聞こえた)、三橋の手を引いて、マウンド上のシャワーに飛び込んだ。


「きれいっ、だ、ね!!」
三橋は瞳をキラキラさせてキョロキョロ。


(うん、きれー)
田島はじっと三橋を見つめる。
陽炎で揺らめく中に、水に濡れて輝く髪や、肌。
(ぴっかぴか、してる)


その汗を舐めたら、七色の刺激的な味がするんだろう。

(試してみても、いーかなっ?)




(さあどーんといってみよう!)






できもしないのにあたしは、(チヨミハ)


違う骨格。違う筋肉。違う背丈。
違う能力、センス、才能、性別。

できもしないのにあたしは、
彼らとグラウンドに立つ、夢を見る。

同じ学校。同じ部活。同じ歳。
同じ笑顔、泣き顔、頑固さ、嬉しさ。

できるというのにあたしは、
三橋君に告白できない。




(要は、運命られていないモノほど難しくもどかしい、というコト。)







水葬する恋(ミズミハ+泉)


水の中から声をかけてもきっと君は気づかないから。
沈めてバイバイするなら、水の底って決めている。

「俺“水”谷だし、さ!どうコレ!」

泉は半眼でこちらを見て。

「馬鹿かお前」
「ヒッデー」
「三橋は水上でも水中でも、アピらなければ気づかないってかお前じゃアピっても気づかれない」
「……」

俺も“泉”だけどな。ぜってーしねー。
……そだね。




(美しく失せる恋は跡形もなく消えるよ、マジで。)






人魚が吐いた嘘(アベミハ+田島)


「三橋ー、今日はエイプリルフールだから、ウソ言おうぜ!」
「う、うおっ!」
「じゃー練習!『阿部くん、キライだっ!』ハイ、どーぞ」
「え…う、お!?」
「せーの!」

ガチャ(阿部が部室に入ってくる)

「あっ…あべくん、キ、キキキライ…!!」
「おーナーイス三橋!よ、阿部!」
「!!?あ、あべく…!」

ばったり(倒れる効果音)

「あっ、あべくんっ!?」


あぶくになったのは、王子の方でした。




(三橋人魚は消えないよ。)






坂の上にある景色(幼少ハマミハ)


がんばって、ペダルをこいで、こいで、こいで。
でも今日も、坂の上にはなにもない。

優しい幼なじみのお兄ちゃんも、
なつかしいおうちも。


さびしいので、おうたを歌って帰ります。
明日はなにかありますように。
ハマちゃんのいる景色に、出会えますように。




(ハマちゃんは幼馴染の括りなのか。
そんなギシギシ荘の思ひ出。)






青い季節が貴方を隠す(アベミハ)


優しい瞳も、怒った顔も。
心配してくれるのも、オレが投手だから、です。


(優しい瞳も怒った顔も。
心配するのも、お前がスキだから、です。)


青春は、うまい具合に彼の赤い顔を誤魔化して、風を吹かせてくれるようです。




(Blue springは誤魔化し上手。)






はだしで翔る(イズミハ)


――スパイクが無いと、飛べない、よ!

――飛べる。はだしでも、きっと。

――でも――どこに?


野球以外の、場所に。



――いつか野球をしなくなっても、お前は飛べるよ。


そんな日が来ることはあり得ないけれど、知っていてほしかった。




(野球をしないお前でも、お前らしく幸せになれますように。あり得ないとしても。)






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