「毎度毎度よく解んな、アイツのこと」
練習の合間、ポツリと。
彼が言った。
<宣告そのいち>
彼はそう言って。
まるでフツーの顔をして、フツーの声を出す。
「…」
俺はちょっとだけ瞬き。
どうやら予想してたのより、敵は鈍感だったりするらしい。
「ははっ」
ちっさく、笑う。
「…うん」
うん。だから、
三橋のコト解るから、わかる、よ。
ホントに大事で、でっかく占領してる奴のこと。
だけど、俺も負けらんないので。
そのコト、は死んでも口に出してやんない。
じぃっと見てたら、さすがに彼は首を傾げる。
「…?」
だけどなんにも言ってこない。
俺が何考えてるか、どうやら聡い筈の彼も解らないみたいだから。
それが三橋の大事、に胡座かいてるからか、バカなのかは知んないけど。
どっちにしろさぁ、ホラ、早くしないと、
なんとなく飽きてきて、まわりに散った視界。
ほてほてとベンチに向かう、彼、が見えたから。
いつも通り。
「みっはしー!」
「ウ、わ…っ、……むぎゅ、」
がばし!と飛び付いてぎゅうぎゅう抱き締めると、カエルの悲鳴みたいな声が漏れる。
だけどちょっと嬉しそうにカオが緩むのを、俺は見逃さない。
にぱっと笑えば、彼も笑う。
ちょっとだけためらって、でも精一杯!な笑顔は堪らなく、かわいい。
(なぁ、ホラ!早くしないと!)
気付いた頃には俺がぜんぶ持ってっちゃうよ!
終
初おお振りSS。
田島が別人…な予感。そのいち、とか言いつつ今の所そのに、は無いです。
散々三橋と意思疎通してますーな態度を見せつけてるのに原作の阿部はまるで気にしてなさそうなので、逆に嫉妬くらいしろよ馬鹿野郎!って複雑な気分の田島くんとかアリなんじゃ…と思っただけの駄文でした・・・
読んで下さりありがとうございました!
07,9,22
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