目の前には緑茶。謎の漢字のオン・パレード。それから謎の機械で固められた部屋。
もう一つ…というか、もう一人。目の前の金髪の男にじ――――っと見られていて、いかんせん身の置き場がないのが現状である。
ツナは冷や汗を垂らした。ミルフィオーレの基地に忍び込んだ時点で色々なことを覚悟していたはずだったのだが、吹っ飛んでしまった。
あ、いや、覚悟を失ったわけではない。ただ、張り詰めていた緊張や、頭の中で考えていた色々なこと…自分達は白蘭を倒せるのかどうか、元の時代に戻れるのかどうか、一体今何が起こっているのか…などなどが、この酢。花――じゃなかったスパナと名乗る男の登場で考えられなくなってしまったのだった。
敵であるはずのツナに新技完成の助言を与えると言い出したのは一体何が目的なのかと身構えれば、日本好きが高じてなんてそれは理由にもならないと思う。]BURNERを見たときのキラキラした興味津々な瞳は悪い人には見えないけれど、その超直感を頼っていいのかイマイチよくわからなかった。
――ていうか、俺こんなところにいていいの!?獄寺くんや山本やお兄さん、それにラルが…。
「おい」
「はっ…はいいい!?」
静かに声をかけられ、ツナは座ったまま壁際まで高速後退りをしかけた。その様子をまじまじと見つめて、スパナはちゃぶ台?の上の緑茶を指し示す。
「早く飲まないと冷める」
「え…」
「嫌いか?緑茶」
意外と「緑茶」の発音きれいだ…!と妙なことに感心しながら、ツナは仕方なく這うようにちゃぶ台に近づき、手を伸ばした。瞬間手首に鈍く光った手錠が今の監禁状態を思い起こさせたが、どうしようもない。
意を決してコップを取った。取っ手ではなくコップの胴体部分を掴んでしまい熱くて一瞬手を引っこめそうになったが、今は恐怖と不安が勝っていたらしく、熱い表面から手は離れなかった。
「い、いただき…ます」
「どうぞ」