ぴーちくぱーちく。
外で鳥が鳴く。朝の柔らかな陽光がカーテン越しに降り注ぐ。
「ん…」
ベッドの上で少年はもぞ、と動いた。シーツのしわが動き、茶色のくせっ毛が淡い光にふわりと浮かび上がる。
起き上がると、少年の目が開く。とろんとした琥珀の瞳は焦点が合わずに揺れる。
「うー…?」
辺りを見回し、首を傾げ。少年はぺたんと座りこんだ。
すると、天井と棚に上手く渡されたハンモックが揺れた。少年を見やる、黒の大きな瞳。
可愛らしいパジャマに身を包んだ家庭教師はぱちくりと瞬きをして、寝転がったまま銃を手の中で遊ばせる。
「どうしたツナ、今日はやけに早いな。天変地異の前ぶれか?」
ジャキンッ!と銃口を少年に向けた。当然安全装置は外してある。
普段のツナならここで立て続けにツッコミを入れるところだが、何故かツナはぼんやりリボーンを見て、不思議そうに首を傾げただけだった。目はしっかり開いていて、寝ぼけているようでもない。
リボーンは表情のあまり変わらない顔で、また目をぱちくりさせる。なんの変化もないようだが、目を開けたまま寝るリボーンにしては瞬きの数が多い。
「ツナ…?」
いぶかしげに名を呼ぶ。教え子の纏う空気が普段のそれと、人が変わったように異なっている。なんというか、ダメツナオーラが感じられない。昨夜も元気よくツッコンでいたというのに…寝ている間に何かされたか?しかし何者の気配も感じなかった。寝ていたとしても侵入者を見逃すはずがないが、万が一ということもある。リボーンは少しだけ、眉を寄せた。
ツナは名を呼ばれ、にっこり笑った。キラキラした幸せそうな笑み。春の風のような暖かな笑顔に、リボーンは大きく目を見開いた。
ツナの小さな唇が開く。その様すらいつものツナとは違う。柔らかくゆったりとした口の表情が、女の子のようだ。
ツナは笑んだまま、鈴の音のような綺麗な可愛らしい声で言った。
「ここ、どこ?おれ、だれ?」
かの最強家庭教師が、一瞬ガッチリ固まった。
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