「はいどうぞー」
「う、わあ…!」
目の前に出されたのはほかほかふわふわの肉まん。白い湯気が上がっていて、ぷっくりふくらんだその白い姿は、とてもおいしそうだ。
三橋は栄口の家に来ている。部屋に通されてちょっと待っててと言うと、彼は大抵こうやって、食べ物を持ってきてくれるのだ。
三橋は涎を垂らさんばかりに皿の上の二つの肉まんを見て、それから栄口を見上げる。まるい瞳を期待できらきらさせるそれは、「食べてもいいですか」の顔。
それに対しての栄口の顔はいつも、ちょっと苦笑しながらの、「もちろんどうぞ」の顔だ。
「ん、いいよ。のどに詰まらせないようにね」
「いただき、ますっ!」
笑顔で言われ、三橋は目を輝かせて肉まんにかぶりついた。口の中に肉汁が広がって、肉のうまみと野菜の味がしっかり伝わってくる。やっぱり肉まんはおいしい。