ゲンミツに好きだ。そう言うと、少し間を置いて訂正された。
「田島く、そのゲンミツ、は、なんか、違う、よ」
 じゃあ何て言えばいいのかと尋ねると、三橋は困ったように首を振る。横に。
「わ、わかんな…けど、」
 違う。
 この恋心まで否定されたみたいで、田島は口をヘの字にした。





「俺、三橋が好きだ」
「……今更、だな。随分?」
 真剣な表情で何を言い出すのかと思ったら、そんなことを断言されて、花井は眉間に皺を寄せながらロッカーを閉めた。
 長椅子に座って右足に靴下を履き始めると、正面に田島が回り込んでくる。驚いているようで、頭のどこかで冷静さを保ったまま。
「え、なに。花井、知ってた?」
「あー…まあ、あれだけひっついてたら、それは、な」
 本当はそれだけではないのだけれど。花井は言葉の続きを飲み込んで、今度は左足に取り掛かる。汗で肌にへばりつく布は、なかなか持ちあがらなくて嫌になる。
 田島は花井をじっと見つめた。
「なんでわかったんだよ?」
「だから、ずっとそばにいて離れないだろお前。三橋から」