山→ツナ :   彼の夢と願いと望み

俺は願うことなんてなかった。



願いは、望みは自分で叶えるもので。誰かに叶えてもらうものじゃなかった。



そう、誰か、を待つなんて馬鹿げた話なんだ。だいいち待たれるヤツのこと考えてみろよ。メーワクだろ?俺も…自惚れたくねーけど、よくわかる。



夢は自分で叶えられるからいい。けど、願いは駄目だ。望むなんて、もってのほか。



ほら、だからヒーローって可哀想なんだろ。望んだりできないから。 そういう生き方を選んだヒーローが、悪い気がしないでもないけど。



だから、アレも、俺が自分で叶えられる夢だったんだよ。始めは。 そう思ってたんだよ。



でもいつの間にか、願いに変わっちまったんだな。



だから、俺はここにいたんだよな?



後悔なんて絶対しない。



でも――





なあ、俺。一年前の、あの日の俺。 これから先、永遠に続くだろう(きっと"今"の俺にも続いている)、俺。







「ツナの右腕は、譲れねーな」





あれは始めから、望み、だったんだなあ――









(原作で十年後に来た山本の心中を想像してみて。)