高瀬準太と三橋廉の事情



<登校中>



――三橋、朝練間に合うかな?


準太は朝もやの残る住宅地を歩きながらさきほどの電話を思い出して、ぷっと吹き出した。
何でああも毎日同じことを繰り返してるんだろうと考え、ああでもそれに幸せ感じてる俺って結構重症?と必死に笑いを噛み殺す。5時を回ったばかりで周りにはまだ誰もいなくて、しんと静まり返っている。
そんなときはいつも愛しい子のことだけを考えて。

きっと今頃はわたわた必死になって着替えて、朝食をとって、くしゃくしゃ頭のまま飛び出しているんだろう。転んだかな?ケガしてないといいな…。


「明日はもうちょっと、早く」


電話しよう。



心の中で思って、これは重症というより末期だ、と思った。




07,9,26

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