好き過ぎる7のお題

2008年4月位〜5月上旬


1.ティエリア×刹那(00)
2.伊勢兄×九澄(M0)
3.九尾×ナルト(NARUTO)
4.チアの女の子たち×三橋(おお振り)
5.獄寺×ツナ(REBORN)
6.倉持×沢村(ダイヤ)
7.杖×盾(勇者学)








1.ティエ刹


刹那・F・セイエイ。


本当は自分のものではない名を呼ばれるのは好きでも嫌いでもない。それはただの識別のための記号なのだ。だから振り返る。相手が、誰であろうとも。
何だ。短く返すと、対峙した相手は眼鏡の硝子越しに刹那を見た。凝視と呼ぶに相応しいその眼差しは、まっすぐ少年を射る。


刹那・F・セイエイ。
何だ。
…何だ?


問われて問い返されるとは思わなかったので、眉を上げる。別に、上げなくてもいいのだ。ただこうしないと、兄のような口うるさい男に何考えているんだと小言を言われるから。


何だ。ティエリア・アーデ。


「君たちはどうしてフルネームで呼び合うのかな。…あ、いや、禁則事項とかではなくて、うん。え、ええ?それはないよ、ハレルヤ……いや、なんか、名字の滑舌の問題じゃないかって、ハレルヤが…」


呼びたくなる。名を。


ティアリアはそう呟き、刹那の顔を覗き込んだ。刹那は目をまるくした。(今度は残念ながら、別にわざとではない)


どういうことだ?刹那・F・セイエイ。
知らないな。ヴェーダは。
何も。
なら、俺にもわからない。すまない。


刹那は俯き、踵を返す。
普段より若干速いテンポで歩くその背が遠のくのを眺めて。


(最も原始的な欲求に近い気がする。正体がわからないのはおそらくそのせいだ)
(だが、知るべきであるとも思う)





「なら、また呼ぼう。刹那・F・セイエイ」





どうやら、君には依存性があるらしい
(君は、彼の笑顔を見たか?)








2.兄九


「いせあにっ!」
「…なんだよ」


前から駆けてきた黒髪の少年にそう呼ばれると、瞬間漢字変換が遅れる。いつもそうだ。確かに彼の同級生に自分の弟がいる。彼にとって伊勢聡史は、奇妙な話だが「伊勢兄」になってしまうのだ。


(ムカつくんだよな、なんか…)


イラついて眉間に皺でも寄ったか、彼の顔を見て九澄は一旦怯んだ。しかしはっと思いだしたように詰め寄る。


「伊勢兄、あっちに二年の先輩たちが倒れてたんだけどもっ!?」
「ああ…いきなり魔法で攻撃してきやがったからな。のした」
「のしっ…!?ちょ、やめてくれよもう!あんた強いんだからさ、なにも気絶させなくても…」


がっくり肩を落とす九澄に、伊勢はフンと鼻を鳴らした。


――あのゴールドプレートの一年、最近いい気になってるよな?
――ああ。痛い目、見せてやろうじゃねーの。
――よく見るとちょっとかわいーしな!遊んでやろーっと!
――はは、そりゃいいや――


(ちょっとじゃねーよよく見なくてもわかんだろ!フシ穴め!)
「なーいせあにー?こちとら執行部の仕事がすっげ溜まってんだからさー…ケンカはやめてくれよ。な?」


顔をのぞきこんでくる九澄を適当にかわして目をそらす。九澄は馬鹿にされた、もしくは何か隠しているのだろうかと思ってますます背伸びをする。
何も知らないというのは、もう本当に、罪なものだ。
九澄の周りには彼を慕う人間が多い。弟をはじめとするクラスメイト然り、執行部の奴ら然り。教師や人外のものにまで好かれているという話まである。まったく。


「オイ伊勢兄!聞いてんのか?」
「聞いてない」
「ちょ…!もう!」


頑張って頑張って目をそらしていたシルバーの先輩に。


「俺以外見るんじゃねーっ!」


それは、





「こっちのセリフだこの馬鹿!!」





俺以外見るんじゃねぇ
(でも俺だけ見るのもやめてくれ!)








3.九ナル


ときどきな、わからなくなるんだってばよ。


――何がだ?


オレが、お前なのか、オレなのか。わかんなく、なるんだってば。


――くく…ナルト、今更だな。お前は俺と共に生きてきた。俺と同じように忌み嫌われ、同じように力を手にしたのだ。俺は既にお前の殆どを支配した。わかるか?わかるな、それも?


うん。わかってる。


――なら、早く全てを託せ。俺に、そして――お前に。


それは――


――うちはのガキを、取り戻そうぞ、ナルトよ。お前の願いを、叶えてやるぞ。


九尾。


――何だ。


ありがとう、ってば。


――?


お前だけだったってばよ。サスケがオレを庇って死にかけたとき助けてくれたのも、大蛇丸と戦う力をくれたのも、サスケを連れ戻したいってオレを、止めなかったのも。


――ナルト。


みんな、心のどこかで止めてた。みんなサスケのことを助けたかったのに、オレのことも考えちゃってた。それは、それはいけないんだってば。オレは、嫌われ者だから。


――……


でも、お前はずっと前を向かせてくれたってばよ。過去を振り向くことで。
ありがと、なっ!





(子どもは――子どもだと思っていた彼は、老いた獣に笑ってみせた。瞳の碧が、痛かった)





相当侵食されていると思う、心の奥の奥まで
(おかしたのは、どーっちだ?)








4.チアミハ


AM 12:55 in 西浦高校。
の、体育館への渡り廊下にて。


「「あっ!!」」
「ひっ!?」


突然指を差されて叫ばれて、三橋はお約束通り逃げ出しかけた。しかしできなかった。前と後ろ、両方から進路を塞がれていたのだった。
即ち、身体固まる。
三橋を挟むようにして立っている二人の少女――篠岡の友人であり西浦高校野球部専属?のチアガールたち――は、こちらはこちらで固まっていた。三橋を見かけた→声かけよう!→何も考えていなかった、わけで。
やはり固まる。


「「「……」」」


「あっ!」


一番早く硬直状態から抜け出したポニテの彼女が大声を出し、それをきっかけに三橋ともう一人のショートカットの彼女が硬直を解いた。


「まずい!本鈴鳴っちゃうよ!」
「う、うひっ!?」
「あ、ホント!ごめんね三橋くん、ごめんね〜〜〜〜〜っ!?」


そう叫んで駆けていく二人を、口をぽかあんと開けて三橋は見送った。


「……おお?」


そういえば、キョドリな自分にしては珍しく、初対面のひとと目があったなあ、と思いながら。





PM 1:00 in 西浦高校。
の、体育館からの渡り廊下にて。


三橋廉は、ちょっと嬉しくなりました。





目が合うと、どうしていいのかわからない
(次こそは、かわいいねって、褒めるんだから!)








5.獄ツナ


すみません。そう土下座し続ける彼に、ツナはため息をついた。頬に貼りつけられたでっかいバンソウコウを押さえながら。
ツナに絡んできた者がいた。そんなのダメツナ時代から慣れっこなのでツナは別段気にしないのだが、ツナの自称右腕は黙っていてはくれなかった。これはまあ、そのとばっちりで。


「別にいいよ…これも慣れてるし。リボーンのスパルタとかで」
「いいえ!本当にすみませんでした十代目!俺、右腕失格です…!」


――失格、って言ってもやめないくせに…。


そうは思っても言わないのがツナなのだが、こんな調子で本当にマフィアになれるんだろうか?というのが素朴な疑問である。いや、自分はなる気はないが決して。


「獄寺くんは、もしマフィアじゃなかったら将来の夢は何だったの?」
「えっ」


このくらいの遠まわしなイヤミは許してもらおう。
獄寺は真剣に真剣に考えて、ツナを見据えた。


「もちろん、十代目をお守りする仕事ですね!」
「…あ、そう」
「俺、十代目が好きですから。やっぱり、おそばでお守りしたいです。マフィアじゃなくても」
「ふーん」
「…十代目?」


――驚くとでも思ったのかな?


「だろうね」


ツナは空を見上げた。従順で忠実なこの友人兼部下兼想い人はちょっと一生懸命すぎるよね、と大空にこぼしながら。





好きなのに、どうして傷つけてしまうのか
(好きだから。は、理由として適切ですか?)








6.倉沢


何かやらかしたな、とすぐにわかった。ベッドに突っ伏して泣いてやがったからだ、またしても。


「どーしたよお前」
「う、ぐすっ…倉持、せんぱい…」


こんなときだけしおらしい栄純に倉持は呆れつつ、二段ベッドの下の段に腰かけ、髪を梳いてやる。それだけで栄純はちょっと大人しくなる。そんなことができる人間なんて限られているから、優越感×2。


「み、ゆき、が…」
「あーまたお前いじられたか?ヒャハ、かわいそーになあ」


ぐしゃぐしゃと頭をかきまぜる。言葉の端々から同情なんてちっともしていないことが読み取れて、栄純は恨みがましく倉持を見上げた。


「せんぱい、ヒドい…」
「ヒドくねーよ。いつまで泣いてんだ沢村。ほら」


顔を上げさせごしごし涙を拭き取る。いて、という声はムシだ。
アイツのために流す涙なんて、とっとと乾いてしまえばいい。
栄純は目尻を擦りながら、今度は怒ったように頬を膨らませる。


「御幸のヤツマジであり得ないんですよ!もう、次会ったら殴ってやる!」
「ヒャハハ、お前またやり返されるだけなんじゃね?」
「負けねー!絶対負けねー御幸なんかに!」


御幸、御幸。そろそろホントに、うるさい。


「沢村」
「なんすか?」
「お前、ちょっと黙れ」
「は?」
「舌、噛むぞ」


浮気の仕置きだ、仕置き。





栄純の抗議の声は、彼の口で塞がれ飲み込まれた。





アイツなんかに近付くな
(キスがいいならどーぞ)








7.杖盾


新しいゲームが手に入ったんだけど。それだけの言葉で彼は簡単に釣れる。


「どんなヤツ?」
「この前言ってたRPGだよ。ほら、海藻物語と同じ会社が出した」
「あーアレかー」


たかがゲーム、されどゲーム。そんなスタンスでゲーム好きの盾は、杖の誘いに大抵笑顔で応じる。その程度のゲーム好きの彼が素直に自分の横で新作をプレイしているのは、結構誇っていいことだと思う。
そばにいる。笑い合える。触れられる。(しないけれども)


「ねえ部長」
「んー?」
「河野の下の名前って何だっけ?」


盾はボタンを連打しつつテレビから目を離さず答える。


「じゅんだよ、盾」
「(知ってるよ。文句の一つもないのは、期待してないから?)じゃ、俺の名前知ってる?」
「えー?杖、だろ?」


名前当てクイズかなんかか?
的外れなそんな彼に呼ばれた自分の名は、とても愛しくて。


「なんでもないよ。盾…部長?」


自分の柔らかな笑顔を見ていない彼は、くすくす笑って次のステージへ進んだ。





多分自分は、彼に心底惚れている
(ああ暴露はいつかしら!)








好き過ぎる7のお題

どうやら、君には依存性があるらしい
俺以外見るんじゃねぇ
相当侵食されていると思う、心の奥の奥まで
目が合うと、どうしていいのかわからない
好きなのに、どうして傷つけてしまうのか
アイツなんかに近付くな
多分自分は、彼に心底惚れている









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