ミルフィオーレへようこそ☆


「……あの」
「なーに?ツナちゃん。あ、お菓子足りない?スパナーアメー」
「いやそうでなくて」
「γどこだい?お茶!抹茶ね」
「俺抹茶ダメ…ってそうでもなくて!」
「抹茶ダメ?あらら、正ちゃんたらリサーチ足りないよ?何やってたの?ごめんねツナちゃん、ユニ嬢が来たらほうじ茶が手に入る筈」
「そうじゃないって言ってんだろがあああ!」
 どらっせえええい!とちゃぶ台をひっくり返したツナに、瞬時の内に逃げおおせていた白蘭はニコニコと微笑んだまま首を傾げた。
「どうしたのツナちゃん、古き良き日本の親父みたいなことして」
「詳しいな!?って違う!俺は敵なのにあんたら何やってんだよ!」
 敵相手に説教垂れる日が来ようとはさすがに思いもよらなかった。
 現在ツナはミルフィオーレの中枢部にいる、らしい。らしいというのも守護者とミルフィオーレとの交戦中に爆発で吹っ飛ばされて気を失い、気付いたときにはここに連れて来られていたからだ。(守護者とミルフィオーレの戦いというのがまた、敵味方関係無しのツナ争奪戦に様変わりしていたのはあまり受け止めたくない事実だった)
 そうここは、ミルフィオーレ上層部しか来ることの出来ないという、謎の部屋。
 どこが謎かというとテレビゲームが転がっていたり、お菓子が沢山あったり、教科書らしきものが本棚にあったり、至って普通の部屋だというところ。そしてそれが、やたらツナの十年前の部屋にそっくりだというところであった。
「あんたら何作ってんだよ!」
「え?正ちゃんが凄いんだよ〜。数少ない記憶から沢田家の間取りとか調べて、ツナちゃんの部屋の再現までしちゃうんだから!これだからオタクは」
「「褒めてない!?」」
 ツナと正一のツッコミが重なった。正一の方はだいたい作れって言ったの白蘭さんじゃないですかまったくとか何とか騒いでいるが、ツナの方はは何だか泣きたくなってきた。
 すると目の前にすっ…と湯のみが差し出される。視線を横に向けると黒髪の少女が無表情のままに言った。
「ほうじ茶よ、過去のボンゴレ」
「あ…ああ、どうも…」
 この子がユニか…と納得したいようなしたくないような気持ちでツナは湯のみを受け取り、茶を啜った。やっぱりお茶はいいなあと現実逃避を試みていると、じいっとスパナの恨みがましい視線がツナを射る。
「な、なに…?」
「ボンゴレってば、ウチが煎れたお茶よりおいしそうに飲んでる…」
「張り合ってるー!?」
「ウチも飲みたい」
「そっちかい!?」
 ツナとスパナが言い合う様を羨ましそうに白蘭は見つめ、羨ましいーと正一をばんばん叩いた。
 その他の面々もお菓子を頬張って野猿なんか完全に子供化しているし、幻騎士はここはどこのアフタヌーンティータイムだ!とツッコミ待ちをしているのではなかろうかと疑うほど優雅に紅茶を飲んでいる。
 スパナにツッコミ連打をしながらツナはいい加減イライラしてきた。こちとら決死の覚悟で来ているというのにあんまりではないか。つーか基地内に遊び場を作るって不謹慎にも程がある。
 それでもツナは今現在捕らわれの身な訳で、あまり不用意な発言をするのはまずい。
 仕方無くスパナの襟首を放して座り込んだ。
 が。
「そーだ」
 ぱん、と白蘭が打った手に、嫌な予感が背筋を駆け抜けた。なんだかこう、精神的にヤな感じの悪寒、が…。
「みんな、ツナちゃん捕縛記念ってことだし、パーティーでもやろうか!」
「は。」
「ああ、いいんじゃねえの」
 γの言葉にツナはぎぎぎいっと振り向く。後ろに勢揃いしたミルフィオーレ中枢幹部の面々は、「あ、それナイス!」とでも言わんばかりの表情だ。
「私は賛成だわ」
「異論はありません」
 ユニの、幻騎士の言葉にツナの目の前が真っ暗になってゆく。
 そろそろ手を挙げたスパナが「ボンゴレは当然ドレス?」ととぼけたことを言い、「もっちろん!正ちゃん宜しく!」「えええ!?まあいいですけど…」という会話が飛び交って、
「…お前ら」
 ゆらりと立ち上がったツナに白蘭がにこやかに湯のみを掲げた。
「えーでは、ツナちゃんのミルフィオーレ滞在を祝って、かんぱー」
「アホかああああ!!?お前達仕事しろおおぉ!!」
 ツナの死ぬ気が宿った右手が白蘭を張り倒し、次いでボンゴレ仕様ミルフィオーレスイートルームが炎上したのであった。








ユカさまより、ミルフィ×綱で総受け。敵に捕まったのに、ちやほやされてビックリ!!みたいな…。
なんだかギャグになってしまってすみません!一応ちやほやは…してる、ような…?←
素敵リクありがとうございましたv宜しければお持ち帰り下さい。







08,11,14