「俺にとってクリス先輩は憧れなんだよなー」
「あの人のお陰で俺は自分のことが沢山わかったし、野球にもっと真剣に取り組もうって思った」
「クリス先輩に感謝してるし、誰よりも尊敬してる」


「…そう」


 降谷としては只頷いただけのつもりだったのだが、声に溢れる不機嫌さは拭いきれなかったらしい。
 栄純は頬を膨らまして食堂のテーブルに突っ伏した。


「だーかーら、何回言えば気が済むんだお前!」
「何回言ってもいいけど、気は済まないだろうね」


 半ば投げやりに呟くと、栄純は呆れたように首を振った。


「じゃー何なんだよ?お前が好き、って言えばいいのか?」
「まだマシかも」
「…ムカつく。も、知らん!」


 辟易した様子で立ち上がりその場を去る栄純の後ろ姿に、降谷は静かに言った。





「憧れで尊敬のくせに、あの人が望めば抱かれたっていいって思ってるんだろ、君は」





彼への気持ちもあの人への気持ちも本物で
 降沢→クリ




08,06,08