世界設定&登場人物紹介
西暦二千と余。そもそも西暦という暦が消え失せた頃――。
度重なる戦争の危機と国内統制の瓦解を経験し、日本は独自の概念によってこの国を建て直そうとしていた。
即ちそれは、日本らしさによる日本の再建国。
宗教やカリスマによる統制を取ることが困難であるこの地における最大の武器は国風文化であった。どの国にもあるとして見落とされていた日本の文化を、日本の誇りとして、日本人の心の拠り所として用いる。東京を中心とした都市は解体され、新たに江戸が生まれる運びとなった。
対外政策に採用されたのは日本古来の妖である。政府が秘密裏に関わりを持っていた妖を世界に公表し、その抑止力により核放棄さえ成し遂げる。そして日本はかつての鎖国と似た状態を歩むこととなる――
さて。
妖を表立って利用し始めた日本では、幾つかの問題が生じていた。
日の目を見ることになった妖が人間社会で悪さをするようになる。彼ら妖を使って悪だくみをする人間が現れる云々。
これを鎮圧するために政府が目をつけたのが全国にのさばるヤクザ者達であった。彼らの暴力的なまでの能力に注目したのだ。
彼らには妖を退治する力が与えられ、妖関連の事件だけではなく治安維持全体が任される。その内それぞれの組は地域に根付き、規模を拡大しつつ他の組と抗争を重ねることもあった。彼らの仕事は「退魔」と呼ばれ、妖にしろ人間にしろ悪行に身を投じたものを裁くことを旨とする。そのためには手段を選ばないこともあった。
舞台は、東京から江戸に名を変えてから、三百年が過ぎようとしている頃――。
沢村栄純/次期青道組二十代目組長/退魔術士兼退魔士
兎に角明るく元気で可愛らしい、みんなのアイドル。人を引き寄せる魅力を持つ。
女の子である以上嗜みとして琴や舞を習っているが、本人は戦っている方が好きで刀術の鍛練を怠らない。(実は舞いやらもなかなか上手だったりしてときどき周りを驚かせる)
幼い頃に祖父である先代組長と両親が謎の死を遂げ、二歳のとき親戚筋である片岡の元に預けられる事になる。
潜在的な妖力(妖と戦うための能力を使う際消費する力)は高いが、どうやら妖にさえモテてしまうらしく妖に狙われる事もしばしば。
五歳のとき奇病にかかったことがあり、それ以来更に妖力が増した。
夢は青道の組長になってみんなに「姐さん!」と呼ばれること(笑)。
武器は刀とドスの二刀流。倉持仕込みの暗器を使うことも。
また、逆上すると人格が変わってメチャ強くなる。ただしその後妖力の使い過ぎでぶっ倒れる。
御幸一也/陰陽系退魔術士
栄純の現「相棒」。二枚目な外見と若干人を小馬鹿にしたような発言が多く軽く見られがちだが、誰より青道と栄純のことを考えている。が、あまりにベタベタしすぎて栄純には嫌がられもしている。
退魔術士としての腕は天下一品であり、栄純との相性もいい。組の在り方に口を出す事もできる青道扇の要。
得意とするのは召喚術。契約式の召喚獣を千近く連れているという。
倉持洋一/退魔士
クナイ・手裏剣等、暗器の使い手。
栄純のお兄ちゃん的存在で、妖と戦うとき栄純をサポートするほか、妖以外の揉め事を担当する。
盗賊団「胡蝶」の元リーダーでもある。
小湊春市/退魔術士
沢村の家に代々仕える小湊家の次男。
退魔術士であるが戦いにはそれほど参加はせず、サポートが主である。
珍しい妖力転嫁の術式を使える。
栄純とは幼い頃からの親友。
滝川・クリス・優/退魔術士
異国人とのハーフ。栄純に対して退魔術の指導を行う。
栄純が初めて組んだ「相棒」でもあり、栄純から全幅の信頼を受ける。
また、青道組唯一の“刺青”の彫り師でもある。
金丸/退魔士/下男
片岡の元で働いていたが、栄純の遊び相手として抜擢され事実上の幼馴染のような関係に。
栄純の事は好きだが基本的に素直になれない。
結城哲也/退魔士
栄純に剣術を教えている。栄純には将棋を教えられている。
基本的に栄純には甘いので大抵の事は押し切られてしまう。
一応栄純の婿には一番近いポジション(=青道で一番強い男)にはいるのだが、本人はイマイチよくわかっていないらしい。
小湊亮介/退魔術士/“契約者”の一人
沢村の家に代々仕える小湊家の長男。現・栄純の契約者。
毒舌で容赦がないことで有名。
珍しい妖力転嫁の術式を使え、栄純が妖力を使い果たしたときには補充する役割を果たす。
降谷暁
栄純の彼氏(!?)として登場するもののその素性は謎。
片岡鉄心/青道組組長
青道の現組長。ただ本人は、これはあくまで代理であるとの弁を崩さない。
あまり表には出さないが、栄純のことをとても大切にしている。
高島礼
青道影の権力者。主に人材登用が専門で、栄純を守るために様々な有力者を集めている。